映像の力:心を動かすモンタージュ技法

# 映像の力:心を動かすモンタージュ技法

映画を観ていて、何気なく流れる場面と場面のつなぎ方に心を揺さぶられた経験はありませんか?実はそこには「モンタージュ」という映像技法の魔法が隠されているんです。今回は映像制作の核心とも言えるモンタージュ技法について掘り下げてみたいと思います。

## モンタージュって何?基本を知ろう

モンタージュというと難しそうに聞こえますが、簡単に言えば「映像のつなぎ方」のこと。ソビエト連邦の映画監督エイゼンシュテインが理論化したこの技法は、映像と映像を組み合わせることで新たな意味や感情を生み出す手法です。

例えば、泣いている人の顔→空っぽの財布→閉まったお店の扉、という3つのカットを順に見せられたらどう感じますか?何も説明がなくても「お金がなくて買い物できなかった悲しみ」みたいなストーリーが頭に浮かびますよね。これがモンタージュの基本的な力です。

## 感情を操る!モンタージュの種類

並列モンタージュ

同時に起こっている別々の出来事を交互に見せる手法。スリラー映画でよく使われる「犯人が近づいてくるシーン」と「気づかずにいる主人公」を交互に見せる手法がこれです。観客のハラハラ感が最高潮に達するんですよね!

リズミカルモンタージュ

カットの長さやリズムで感情を作り出す手法。「サイコ」のシャワーシーンなんかが有名です。短いカットを畳みかけるように見せることで緊張感を高めています。

知的モンタージュ

異なる映像を組み合わせて抽象的な概念や思想を表現する技法。例えば、チャップリンの「モダンタイムス」で人間が機械の歯車に飲み込まれていくシーンは、産業化社会への批判を視覚的に表現しています。

## 映画史に残るモンタージュの名場面

ヒッチコックの「めまい」

主人公の恐怖症を表現するために、カメラを前進させながら同時にズームアウトするという矛盾した動きを組み合わせた「ドリーズーム」という技法を使ったモンタージュ。この技法で観客も目眩を感じる仕組みになっているんです。

クブリックの「2001年宇宙の旅」

猿が骨を投げ上げるカットから、宇宙船のカットへの切り替え。数百万年の進化を一瞬で表現した映画史上最も有名なカット・モンタージュの一つです。

黒澤明の「七人の侍」

雨の中の最終決戦シーンでは、混沌とした戦いの状況を緻密に計算されたモンタージュで表現。リズム感覚の素晴らしさは今見ても圧巻です。

## デジタル時代のモンタージュ技法

現代ではデジタル編集技術の発達により、モンタージュの可能性は無限に広がっています。クリストファー・ノーランの「インセプション」や「テネット」では、時間を操るモンタージュ表現が驚きをもって迎えられました。

また、YouTubeなどの動画プラットフォームの台頭で、かつてはプロの領域だったモンタージュ技法が一般クリエイターにも広く使われるようになっています。ジャンプカットやスプリットスクリーンなど、SNS時代ならではのモンタージュ技法も次々と生まれています。

## モンタージュを学ぶには?

「百聞は一見に如かず」とはまさにモンタージュのためにある言葉。座学だけでなく、実際に名作を観て分析したり、自分で編集してみることが上達の近道です。

映像制作の専門学校では、こうしたモンタージュ技法の基礎から応用まで学ぶことができます。東京・大阪に校舎を持つ日本映画大学校では、一流の講師陣から実践的な映像編集技術を学べるカリキュラムが組まれています。

## 最後に

映像は単なる記録メディアではなく、感情や思想を伝える芸術です。モンタージュはその中核を担う技術であり、クリエイティブな表現手段。次に映画やドラマを観るときは、ぜひ「どうやって映像がつなげられているか」という視点も持ってみてください。新たな映像の魅力が見えてくるはずです!

映像の力を理解することは、現代のビジュアルコミュニケーション社会を生きる私たちにとって、もはや教養とも言えるかもしれませんね。皆さんもぜひ、モンタージュの世界に足を踏み入れてみてください!

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